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フォント・文字組み アーカイブ

2007年02月05日

サンセリフとスモールキャピタル

Shannon.gif

 Monotype からリリースされている Shannon Std を気に入っています。

 デザイナーはLucidaファミリーで知られる Kris Holmes と Janice Prescott です。いわゆるヒューマニスト系のサンセリフ。デザイン云々以前に、サンセリフになかなかない、オールドスタイル数字とスモールキャピタルがあるのが長所です。

 FontFont ならば、サンセリフ系であってもかなりの割合でオールドスタイル数字もスモールキャピタルもありますが、その他では、ありそうで、なかなか見あたりません。たとえばいかにも多様なグリフが揃っていそうな Myriad Pro でも、オールドスタイル数字はあるのに、スモールキャピタルはありません。

 そういえば Linotype Univers の場合、カタログには「改刻にあたってオールドスタイル数字やスモールキャピタルを新たに作ることが企画された」云々という記述があったと思うのですが、実際にグリフを開いてみたら、やっぱりそんなものはどこにもなくて、残念に思ったものです。

2007年07月18日

イワタ宋朝体

IwaSo.gif

 イワタ宋朝体OpenType版のCD-ROMを買いました。しかし「新がな」はパッケージに含まれていませんでした。

 同じイワタの弘道軒清朝体は、現代版と復刻版がセットになっています。だから当然宋朝体も「新がな」がセットになっていると思いこんでいたのですが、そうではなかったのです。たしかにカタログなどを見ても、どこにもセットだとは書いていません。勝手な思いこみでした。

 純粋に審美的な好みをいえば、新がなよりもノーマルなほうがイイとは思います。しかし新がなだったら、横組みにしたり本文に使ったりしても違和感がなさそうです。新がなも使いたい……。

 割高感を感じつつも、改めて新がなも購入しました。デザインエクスチェンジ(DEX WEB)からのダウンロード販売で16,800円也。ざっと調べたところでは、宋朝体新がな単独での販売をしているところは、イワタストアも含めて他に見あたりませんでした。


(追記 07.10.3)

 気づきたくないことに、気づいてしまいました。「新がな」には、「縦組み用かな」「横組み用かな」として、ノーマルのかなが含まれていたのです。しかしその逆はありません。ノーマルのイワタ宋朝体では、かなを切り替えても「新がな」は出てきません。

 つまり、かなの切り替え機能が利用できる環境さえあれば、「新がな」ひとつあれば事足りるわけです。両方購入したのは無駄。失敗でした。ともかく、わかりにくい。もう少しうまく商売をしてくれよと愚痴を言いたくなりますね。

2007年07月19日

DF新宋体とSTFangsong

ご存じダイナフォントの「DF新宋体」と、OS X に付属してくる中文フォント「华文仿宋体」(この文字は化けるかもしれませんね。アルファベット表記では STFangsong です)って、よく似ているなと思っていました。

そこで試しに両者を何文字かイラレで重ねてみたら、まったく同じものでした。アンカーポイントがどうかとかまでは調べていませんし、検証したのはごくわずかな字種だけですが、たぶん「同一」といってもいいように思います。当然「かな」は全然別のものですが。

2007年08月30日

Frutiger NextのOTF版が

 以前「サンセリフとスモールキャピタル」というエントリを書きました。オールドスタイル数字とかスモールキャップがあるサンセリフのフォントが少ないな、という趣旨だったのですが……。

 なんとついに「Frutiger Next」にオールドスタイル数字もスモールキャップも追加されたではないですか! しかもさらに Ultra Light まで加わっています。このたび新発売のOpenType版です。これはもう、最強とでもいいたくなりますね。

 ただ、ほんのちょっとだけ?先立つものが足りなくて(日本で買うと183,750円也)、まだ入手するには至っておりません。したがって残念ですがここに組み見本を載せることはできないので、チェックしたい方はライノタイプのサイトへどうぞ。

2007年08月31日

小塚フォント ProとStdの違い

Koz_Pro_Std.gif

 小塚明朝と小塚ゴシックは、いろいろなアドビ製品のおまけについてくるので、いつのまにか自分のコンピュータにインストールされてしまいます。しかも Pro と Std の両方があるので、フォントのフォルダは「Koz」がずらり状態に。
 せめて Pro か Std かどちらかをアンインストールしたいなあと思案していたのですが、その前に両者の違いを知っておこうと思いたち、少し調べてみました。

 グリフの数が違うのは当然として、ほかにも、(1)横組み用かなと縦組み用かなが使えるのは Pro のみ。(2)従属欧文のイタリックが使えるのは Pro のみ。(3)従属欧文のペアカーニングが設定されているのは Pro のみ。といった違いがあるのが分かりました。

 (1)についてですが、何よりゴシックの横組み用かなは、水平の流れが強調されており、ずいぶん印象が異なります。個別の字でみると「ふ」や「む」あたりは、まったく違うものになっています。明朝の横組み用かなは、デザイン上の差異は比較的少なく、字面もおおむね同じぐらい。いっぽう縦組み用かなの場合は、明朝だと字面がやや小ぶりなことが特に目立ちます。ゴシックは横の時ほどの違いはありませんが、「た」「に」のデザインはずいぶん違いました。

 (3)は細かい違いです。上の画像の右下をご覧ください。そういえばおぼろげな記憶ですが、たしかイワタ明朝体オールドの OpenType版も、Pro と Std で従属欧文のペアカーニングの有無という相違があったような気がします。まあ現実には、和文フォントの従属欧文を使う機会はあまりないので、どうでもいいといえば、どうでもいいのですが。

2007年09月25日

Bemboいろいろ

Bembo はとても好きな書体です。Bembo で組まれている本を手に取ると、それだけで幸せな気分になれます。しかしそれは「活字」の話。デジタルフォントでも Bembo はもちろんありますが、活字とは全くの別物といいたくなるものです。デジタル版の Bembo もよく書籍の本文に使われていますが、印刷の具合によっては、細すぎて目がチカチカして悲しくなることもしばしばです。

デジタル版の Bembo(よく Adobe の Bembo と呼ばれているやつ)は、多方面から批判されてきました。しかしちょっと前に、汚名挽回を狙った改刻版が登場しました。Monotype 謹製の Bembo Book です。また、Bembo と兄弟筋にあたる書体 Poliphilus と Blado は、デジタル版もなかなか興味深い仕上がりです。そこで、Bembo、Bembo Book、Poliphilus & Blado の3つを比較検討してみたいと思います。

aldus1.jpg

まずはふつうのローマン体。一番上が悪評高いバージョンです。黒味が足りないし、コントラストがあまり美しくない。大文字の背が高すぎる。そして何より巨大なカウンターが不格好。真ん中が改刻版です。なかなか、いい感じなのではないでしょうか。ただ、ほとんどの線が直線でできています。だから直線がイヤな人などは、むしろ一番下の Poliphilus の方を支持するかもしれません。なんと Poliphilus は活版で刷られた印刷物のかすれた感じまで再現していて、アナログ感に溢れています。

aldus2.jpg

つぎはイタリック。ローマン体とだいたい同じような傾向です。やはり一番上の Bembo からは人工的で冷たい印象を受けます。一番下の Blado がとくに細身になっていますが、それは活字の時からそういうデザインだったからだと思います。

aldus3.jpg

最後に A と g を拡大してみました。下段は活版の本からスキャンしたもので、左が Bembo で右が Poliphilus、いずれもたぶん12ポイント活字です。こうして比べてみると、古いデジタル版 Bembo はそもそもオリジナルのデザインに忠実ではなかったことがわかります。そして活字の Bembo は、シャープな直線が特徴的なこともわかります。つまり Bembo Book が直線なのは、手を抜いてフォント化したわけではもちろんなくて、オリジナル版のシャープな印象を、現代の感覚で再現することを意図したものなのではないでしょうか。

2007年09月30日

Adobe Garamond と Garamond Premier

 Adobe Garamond にはずいぶんお世話になりました。欧文フォントのなかでもとくにポピュラーなので、安心して使えたのです。しかし CS2 のオマケについてきた Garamond Premier がある今、どの Garamond を使えば良いのかという悩みは、より一層深くなりました。

 そこで今回は Adobe の新旧 Garamond 対決です。

 Premier になっていちばん変わったことは、オプティカル・スケーリングになっていて、バリエーションが激増したことでしょう。その他にはどんな違いがあるのでしょうか。

garamond1.jpg

 たぶんいろんな修正が入っているのだとは思いますが、とくに気がついたのは、字の並び方ががらりと変わったことです。上が古いバージョンで、下が新しいバージョン。基本的には字間が狭くなっていることがわかります。

 もともと Adobe Garamond はやや詰まり気味でした。個人的にはそれが不満だったので、Stempel Garamond の方が好きでした。だからこの変化はちょっと残念です。

garamond2.jpg

 しかしそれを補って余りある改善点があります。上図を見れば一目瞭然。下段の新しい方は、滅多に並ばないような字間にもカーニングが設定されています。g のターミナルと w のセリフのズレも解消されています。カーニングは本当に丁寧で、たとえば Z-m は 0 から -6 へ、g-w は 0 から 55へ、w-y は 0 から 4 へ、y-f は 0 から 6 へ、と変化しています。

garamond3.jpg

 全体的にみれば詰まり気味になっているのですが、逆に、スモールキャップのスペースは広げられています。このスモールキャップはとてもいい感じです。Garamond Premier の売りの一つになるのではないでしょうか。

2007年11月26日

Futuraのイタリックとオブリーク

FM STUDIO さんのブログを読んでいて、いろいろ出ている Futura の比較検討をしている記事をバックナンバーの中から見つけました。文字好きにとっては黙っていられない話題です。

この記事には「出来具合を比較するなら、Obliqueを比較すべし」とのコメントが付けられています。そこで早速、手元にある Futura を使って比較検討してみました。

futuraoblique.jpg

どちらも同じ「Bold Oblique」です。でもこうして並べてみると、メーカーによってずいぶん違うことがわかります。下は正体を機械的に傾けたもののようで、ひしゃげた印象を受けます。とくに G や O は、歪みが気になって仕方がなくなってきました。それに対して上は、ちゃんと斜体独自のデザインです。

全部のバージョンをチェックしたわけではありませんが、少なくとも Neufville Digital(ND)と URW++ のバージョンは、機械的なオブリークではないイタリックになってるようです。ついでにいうと、両者ともスモールキャップとオールドスタイル数字が使えます。

そして灯台もと暗し。OS X についてきた TrueType の Futura は、下のスクリーンショットでわかるように、ND製だったのです。OS X 付属の Futura Medium Italic は、その名の通り、オブリークでなくイタリックでした。

futuraosx.jpg

2007年12月02日

ITCのサンセリフを買うならば

 欧文フォントを買ったり調べたりするとき、よくライノタイプのサイトを訪れます。見本などの情報が充実しているし、一度購入したフォントは何度でもダウンロード可能なので、とても便利な上に安心です。

 ところで、おぼろげな記憶なので間違っていたら申し訳ないのですが、すこし前までは、ライノタイプで販売されている ITC 系のサンセリフのほとんどは、スモールキャップもオールドスタイル数字もついていなかったと思います。

 けれども、つい最近気がついたのですが、今ではかなりの割合で、ITC もスモールキャップ等が含まれているバージョンが販売されているではありませんか。

 そこで ITC 本家のサイトに行って調べてみました。20MB もある見本帳がダウンロードできるのでざっとチェックしてみたことろ、サンセリフ系のうち、

スモールキャップもオールドスタイル数字もあるもの:
 ITC Conduit
 ITC Dyadis
 ITC Franklin Gothic Condensed
 ITC Goudy Sans
 ITC Highlander
 ITC Johnston
 ITC Legacy Sans
 ITC Mixage
 ITC Octone
 ITC Officina Sans
 ITC Panache
 ITC Quay Sans
 ITC Stone Humanist
 ITC Stone Sans

オールドスタイル数字があるもの:
 ITC Avant Garde Gothic
 Charlotte Sans
 ITC Woodland

となっていました。こんなことになっていたとは知りませんでした。ただ自分の不明を恥じるばかり。

 念のため確認してみたのですが、アドビストアでは、今でもこれらのフォントにはスモールキャップもオールドスタイル数字も一切ついていません。

 ライノタイプのサイトに変化が(たぶん)あったのは、モノタイプに買収されたことと関係があるのでしょうか。以前までスモールキャップ付きの Gill Sans は当社からでないと買えませんよ、とモノタイプが宣伝していた覚えがありますが、今確認してみたら、それもライノタイプのサイトに登場しています。

 ともかく、欧文フォントを買うときは、いろいろなサイトで同じものを販売していたとしても、中身をよく見て比較検討したほうがよさそうです。

2008年02月07日

URW Grotesk

気になっていたサンセリフ書体に URW Grotesk があります。古典的な印象とヒューマニスティックな雰囲気をあわせ持った、不思議な魅力がある書体です。

ところが先日、『ヘルマン・ツァップのデザイン哲学』を読んでいて、発見してしまいました。URW Grotesk をデザインしたのは、どうやらツァップ氏その人のようなのです! 彼の書体の大ファンとしては、それだけでなんだか嬉しい気持ちになりました。

同書によれば、「大文字のプロポーションは、ローマ皇帝トラヤヌスの銘文からとっている」とのこと。なるほど。

ABC.jpg

トラヤヌスの銘文をもとに作られた書体の Trajan と比べてみると、たしかに非常によく似ています。そして、Linotype Univers や Neue Helvetica と比べてみると、URW Grotesk の特徴がよくわかります。

fineprint.jpg

2008年03月04日

リュウミンLの和欧混植


和文フォントの従属欧文のデザインは、たいがい難ありです。キレイな欧文混じりの文を組むためには、欧文フォントを合わせて使います。何と何を混植すればよいか、頭を悩ませるのは楽しいものです。

しかし本当に悩んでしまうこともあります。みなさんリュウミンのLには何を合わせていますか? 和欧混植についてこと細かく解説している工藤強勝氏の著書『デザイン解体新書』でも、リュウミンLには何も触れていなかった記憶があります。

欧文のセリフ書体の場合、細いウェイトまで揃っているフォントは少ないので、リュウミンLと黒みのバランスをとるのは簡単ではありません。ましてやデザイン面での相性を追求しはじめると、至難の業になってしまいます。

ryumin1.jpg

上図は従属欧文でそのまま組んだもの。現行の OTF 版の従属欧文は Century 系です。Century Oldstyle は写植時代以来の定番ですが、リュウミンの書風に合っていないような気がします。

ryumin2.jpg

書体の雰囲気、デザインだけを考慮するならば、Minion はリュウミンと相性がバッチリです。しかし Minion には細いウェイトがありません。上図では見出し向けウェイトの Minion Display を合わせてみましたが、小さいサイズで使うには息苦しく無理があります。

ryumin3.jpg

そこで細いウェイトがあるフォントを使ってみたのが上図です。ヴェネチアン系の Adobe Jenson はゴツゴツした感じがリュウミンとやや異質かもしれません。Warnock は12級ぐらいまでならいいのですが、それ以上のサイズだと個性的なセリフの形状が目立ちすぎるのが欠点。Palatino はデザイン的にはリュウミンより本明朝に合うように思うのですが、黒みの統一感は申し分なし、です。

ryumin4.jpg

レギュラーのウェイトでも細身の書体を合わせてみるという手もあります。上図では Bembo と Fournier を試してみました。とくに Fournier は悪くないかもしれません。しかし Fournier はレギュラー以外のウェイトがありません。できることならば、各種ウェイトが揃っている書体を選んで、ほかの太さのリュウミンともシステマチックに合わせたい。

個人的な好みとしては、Palatino nova がいいかなあ、というのが結論です。ただ、太いウェイトになると、Palatino とリュウミンは相性が良いとは言い切れず、ファミリー展開もおさえた和欧混植という野望は果たされず……ああ悩ましい。

2008年04月21日

プラチナ・コレクション値上げ !?

ライノタイプの Platinum Collection は憧れのフォントです。本文を Palatino nova で組んでみた時、あまりの美しさに感激しました。それ以来、少しまとまった収入になる仕事をした時は、自分へのご褒美と言い訳して買い足していこうと心に決めていました。

最近久しぶりに買い足そうかという機会ができ、ライノタイプのウェブサイトを覗いてみました。日本の代理店ではなく本社のサイトです。あまりに内外価格差が大きかったので、申し訳ないけれど代理店はパスしてきました。

ところが。標題の通り、ものすごい値上げをしているではありませんか。たとえば Linotype Univers の場合、一年ほど前には 1,295USD で入手できたのですが、今では 1,499EUR になっています。今の為替レートでは 80% 以上値が上がった計算になります。他の Platinum Collection のフォントも、どうやら軒並み値上げしたように見受けられます。最近の円高をもってしても、もはや内外価格差はほとんどありません。

その代わりに、Value Pack と称したバラ売りダウンロード販売が始まっていました。当初は「全ウェイト一括・CD-ROMのみ・要署名」でした。だから敷居はかなり低くなったといえるでしょう。でも、ファミリー全部揃えたいという人にとっては、この新価格は痛い……。

2008年04月26日

お気に入りの Baskerville を見つける

バスカーヴィルは金属活字とデジタルフォントの違いが大きい書体です。活字といっても18世紀のオリジナル版のことは良くわからないので、20世紀の Monotype Baskerville (Series 169) のことですが。モノタイプ活字版は最高の書体の一つだと思います。なんとかその雰囲気をデジタルで再現できないでしょうか。いろいろ考えてみました。

バスカーヴィルの特徴としては「コントラストが強い」ことが良く指摘されます。しかしモノタイプ活字版は、DTPでの印刷物に慣れた今日の眼で見ると、それほどコントラストが「強い」ようには見えません。私の主観で表現すると、コントラストが「艶かしい」という感じに見えます。端正なフォルムと、絶妙なコントラストの両立。美しいですね。

Baskerville0.jpg

この写真は1958年にイギリスで印刷された本です。11ポイント活字を行間ベタで組んでいます。

横幅がやや広い。字間が狭い。にも関わらず混み合った印象にはならない。といった特徴があるように思います。単語が塊として眼に飛び込んできます。そしてしっかりとしたセリフの効果か、行の直線的な並びが強調されて見えます(この写真ではわかりにくいですが)。行の中でのアクセントになるのは腰の据わった大文字です。

Baskerville1.jpg

モノタイプの現行デジタル版は、ずいぶん印象が違います。かなり細身になっていて、バスカーヴィルの十八番、小文字の「g」なんか、へなへなです。書籍本文に使うことを前提とすれば、活字版とは全くの別物だと考えるべきでしょう。何かの縁で知らないうちに Mac にインストールされていた TrueType の Baskerville はモノタイプ製でした。

Baskerville2.jpg

世間で多く使わているのは ITC New Baskerville です。字間が広く、コントラストが一層強調されているのが特徴でしょうか。写植時代を思い起こさせる雰囲気です。これはこれで、悪くありません。でも、デジタル版だと鋭すぎる印刷結果になる場合もあります。あと、このフォントをツメツメにして長い本文を組んで、失敗している本をよく見るんですよね。

他にもバスカーヴィルのデジタル版はたくさんあります。たとえばURWのものは……見本帳を見た限りでは好きになれなそうなので省略。ライノタイプの Baskerville Classico は OpenType 化が待たれます。Fry系のものはデザインがちょっと違うのでここでは対象外。

Baskerville3.jpg

そんななかで一番気に入ったのは、Berthold の Baskerville Book です。あの Mrs Eaves と双璧とも言えるぐらい、肉感的なバスカーヴィルになっています。字間が微妙に狭すぎるのか、やや優雅さに欠けるような気もしますが、かなり活字版に近いのではないでしょうか。1980年に写植用にデザインされたとのこと。現在では OpenType Pro 版も出ています。まだ実際に使う機会は得られていないのですが、一度試してみたいですね。

Baskerville4.jpg

左が Baskerville Book で、右が ITC New Baskerville です。

Baskerville5.jpg

イタリックを比べると違いが際立ちます。 ITC のバージョンは "New" と銘打つだけありますね。新しく創作された書体といっていいのかもしれません。

2008年05月07日

Font Game に挑戦!

fontgame1.jpg

Font Game というウェブサイトをご存じですか? 欧文フォントの名前あてクイズです。場所は http://fontgame.ilovetypography.com/ です。なかなか面白そうです。

34問の4択クイズ形式。下のスクリーンショットのような問題が次々に出てきます。ためしに挑戦してみました。


fontgame2.jpg


直近24時間分だけですが、下図のような Hall of Fame なるものも表示されます。要するにハイスコアのランキングですね。さて結果は……。

平均点は23点とのこと。わたくしめは33点を獲得。3,600人あまりのうち、めでたくトップ20に入れてもらうことができました。ちょっと感動。


fontgame3.jpg


〔追記〕

この記事を書いたあとのお昼休みに再挑戦したら、なんと1位になってしまいました! 自慢させてください。:-)


fontgame4.jpg

2008年05月11日

墨東に合う欧文書体は?

かな書体の「墨東」がとても魅力的に感じます。作者のタイプラボ佐藤豊さんのウェブサイトでは「少し古典的な雰囲気の完成された形は幅広い応用性を持ち、細めのものは格調高い文芸物の本文などに、そして太めのものは、様々な見出し用として最適」と書かれています。

bokuto1.jpg

私はモリサワパスポート版の墨東を使っているのですが、ひとつ大きな欠点があります。従属欧文が雰囲気に合わないのです。そのまま文章を組むと、ちょっとまずい結果になりそうです。


bokuto2.jpg


欧文書体との混植が必須。何が合うか考えてきたのですが、「これかな!?」と合点がいく組み合わせに気づきました。FF Scala Sans です。


bokuto3.jpg


いかがでしょうか。これなら横書きでも存分に墨東を使えるかな?

2008年05月24日

ライノタイプのフォントを安く買う方法

 Frutiger Serif や Frutiger Condensed Italic、さらには Eurostile Next とか、ライノタイプから要注目の新書体が次々とリリースされるこの頃。でも、あまり手頃な価格とはいえません。少しでも安くライノタイプのフォントを買いたい。

 日本代理店はもちろん、最近ではドイツのライノタイプ・ライブラリから直接購入しても、いろいろ買い集めると高くつきます(と個人的には感じます)。そこで調べてみたところ、ちょっと割安に買える方法を見つけました。ITC のサイトで、ドル建てで買うのです。

 推測ですが、ユーロ建ての価格とドル建て価格は、それぞれ独立してつけられているようです。日本円に換算すると、結構差が出てきます。2008年5月現在、ドイツから買うのに比べると、おおむね3割ぐらい安くなるような感じです。

 もちろん Monotype の Fonts.com でもドル建てで買えますが、たぶん ITC がベストです。ITC にはなぜか、たまに激安価格のものが混じっているのです。本家で買うより7割以上安いセットを見つけました。何かの間違いかな?

 ただし ITC にも欠点が。購入後ダウンロードできるのは一回きりみたいです。これは FontShop でも同じですが、ITC の方が一層心配な感じです。「このダウンロード画面を閉じたらもうダウンロードできないよ」みたいなメッセージを見ると、緊張してしまいます。

2008年06月22日

Baskerville Book ミニ情報

Berthold Baskerville Book Pro のグリフ一覧を見ていたら、おもしろいものを見つけました。括弧類とかダッシュなどの記号は、小文字に揃えてある通常のものだけでなく、大文字用字形も用意されています。大文字用字形といっても、上に若干ベースラインシフトさせただけです。でも、かなり便利そう。

baskerville_coffee.gif

ブラケットは [ { ( ) } ] の3種類がちゃんと揃っています。他にもギュメ2種類、emダッシュ、enダッシュ、ハイフン、天地中央の点、など。

baskerville_c3po.gif

大文字用字形が入っているフォントは多くはないですが、他にもあります。知っている限り挙げると、Cronos Pro、Adobe Jenson Pro、Scala Sans Pro には、Baskerville Book Pro と同じような約物が入っていました。Optima nova も約物のバリエーションが多いフォントです。

2008年07月19日

タイプバンクゴシックの視覚調整

ゴシック体は「サンセリフ」とイコールではありません。セリフのようなアクセントがついている場合があるからです。例えばモダンな佇まいがする小塚ゴシックにも、しっかりと始筆の打ち込みがついています。

ほんとうに「サンセリフ」なゴシック系の書体としては、AXIS、新ゴ、ロダン、ナウ、シーダ、ヒラギノ角ゴ、平成角ゴシック、などがあります。それらの中でも特にキレイだと個人的に感じるのは、タイプバンクゴシック(TBゴシック)です。

kanjisanselif.gif

TBゴシックはアクセント類が全然ついてないのに、バランスが崩れることは稀ですし、どんな単語を組んでも不自然さを感じさせません。文字のデザインについては全くの素人なので、なぜそうなるのか解らず、不思議に思っていました。そこで、拡大してじっくり眺めてみました。

kanjisanselif2.gif

ご覧ください。視覚調整がものすごく大胆になされています。手元にある似たような書体もいくつか眺めてみましたが、とくに上図の「慮」の例のような調整をしている書体は見当たりませんでした。「助」も思い切った調整がなされています。ここらへんがTBゴシックの秘密の一つなように思います。

2008年10月16日

欧文の本文を組む

外国語の組版は難しいです。何度か英文を組んできましたが、未だに満足いくものができません。だから偉そうなことをいえる立場ではないのですが、自分なりの英文本文組版法・基礎編をここに書いてみることにしました。これまでいろいろ試行錯誤してきた記録です。これから始める方々には一つの例として参考にしていただければ、先輩方にはご批判を仰げればと思います。

(1)
上図はテキストを InDesign CS3J にただ流し込んだものです。フォントは Adobe Caslon Regular で、11/14pt です。恐らく Microsoft Word などでも同じような結果になるでしょう。(画像はクリックすると大きくなります)

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2008年10月27日

英文の本文を組む・続き

先日のエントリ「英文の本文を組む」の続編です。2文字で分綴してしまうのは良くないと書いたのですが、はてなブップマークで「なぜ?」とのコメントが寄せられているのを見つけました。ブックマークには返答する必要はないのだとは思いますが、せっかくですからもう少し説明をしたいと思います。

2文字での分綴そのものが悪いと言うつもりはありませんでした。もしそれが普通のハイフネーションのルールだと受け取られた方がいたとしたら、そうではありません。分かりにくい書き方ですみませんでした。

上図は腕の確かなタイポグラファによる活版の本です。ひとつの段落に3ヵ所も2文字での分綴があります。

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